(すなみ・のりこ=出版社勤務)

柚子の葉食ふ芋虫幸福な蛾となれよ 最終回

柚子の葉食ふ芋虫幸福な蛾となれよ 「ほぼ日」の、映画「ノルウェーの森」についてのトークを読みまして、糸井さんの「当時、すべてが恋愛だった」とかいう発言が、心に響いたのであります。あぁ、そういえる人でありたかった。 と思い、「ほぼ日で〜ほぼ日…

秋灯下中国御籤引き直す

秋灯下中国御籤引き直す 中華街の媽祖廟で御籤を引いた。面白いのは、籤を引いた後に、「○○番の籤でいいですか?」と神さまに尋ねること。尋ねた後、大きい柿の種みたいな木片を二つ投げて、裏と表が出たらOK。裏裏、表表と出てしまったら、籤を引き直す。日…

行く秋や休日名残る白風船

行く秋や休日名残る白風船 休日出勤した。思いの外帰宅が遅くなり、空腹なのに、鞄にガム以外食べ物がないという夜半。キヨスクも閉まっていて、仕方なしに、自販機でコーラを買う。人の少ない車内に、休日の名残の白い風船が、ゆらゆら、風船の下の座席に、…

底紅や加賀屋敷今ホテル街

底紅や加賀屋敷今ホテル街 極楽鳥花の株分けの話題から「今年の春は寒かった」という話になった。そういえば! 夏が暑すぎて長すぎて、忘れていた。 作務衣の似合う佐藤さんは以前、「年が押詰まってきましたね。一年あっという間ですね」との挨拶に、「年の…

胸中の疑問符鴉になりしこと

ボルネオに行ってから、トイレのことが気になるようになった。ボルネオのトイレ事情は悪くはない。大きな水桶から水を掬って便器に流す。水圧で便器の奥の弁を開き流す仕組みになっている。トイレットペーパーは、日本から用意していった。芯の部分に紐を通…

コインロッカー開けて孤独を持ち帰る

女性にしか出来ないこと。女性専用車輌に乗ることもその一つ。私は、痴漢などの嫌な目にあったことがないので、切実感はなく、小ずるく利用している。他の車輌よりもすいているときには乗る、とか。 そこは、やっぱり何か奇妙な空間だと思う。女性しかいない…

マックフライポテトL夜食かな

マックフライポテトL夜食かな 九月、依然として、馬鹿馬鹿しいほどに、非現実的に、アツい!「秋きぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞおどろかれぬる」 風によって秋の到来がわかる、と藤原敏行さんは言った。風は変わった。秋は確かに来ているのだろ…

花カンナ脳の何処やら痒きこと

➀ツイッター。ネーミングはキュートだけど、もはや「つぶやき」というほどささやかな存在じゃなくなっている感じ。「フォローミー」って言っちゃうし。 ➁ひとりごと。村上春樹に「飛行機―あるいは彼はいかにして詩を読むようにひとりごとを言ったか」という…

家猫は看取られて逝く十七夜

家猫は看取られて逝く十七夜 友だちの飼い猫が死んだ。享年十八歳。旅行中のおばさんを昏睡ながら待ち、ちゃんと挨拶して逝ったのだと。 昔、祖父母の家の猫・マルも、マルを一番可愛がっていた従兄弟の帰郷を待って、従兄弟の手の甲をペロリと舐め、何処か…

貧血の友と見る海盂蘭盆会

貧血の友と見る海盂蘭盆会 八月の句会には、三分の一くらい、戦争絡みの句が出される。忘れちゃいけない、伝えなければ。 一年に一度でも、そういう気持ちになることは悪いことじゃない。でも、作品の議論にならずに、命や平和や、戦争についての思いが行き…

イタリアーノのひとみ海色盂蘭盆会

イタリアーノのひとみ海色盂蘭盆会 街はすっかり、お盆休みの気配だ。出社してはいるが、急いでやらねばならないことはない。 ランチへ行くと、ランチメニューの飲物に、グラスビールも含まれている。「ノミモノナニニシマスカ、コーヒー、コウチャ?」「グ…

さるすべり絆創膏におさまらぬ

さるすべり絆創膏におさまらぬ 会社の子が、自転車で転んだと、両肘にデカい絆創膏を貼って現れた。 大人になって転ぶととても痛いんだよね、心的ショックも大きい。昔、酔って自転車に乗ろうとして、転んだことがあるのでわかる。痛さと、自転車に乗れない…

俳人ではなく歌人なら・・・

俳人でなく歌人ならこの恋はうまくいったでしょうか五月雨 少し前のこと、「歌人と俳人の合同歌句会をやるよ〜」というので参加した。一首+二句持寄り。 私はなんだかんだ十年ほど俳句をやっている。が、自分が俳人であるという意識は薄く、「俳句と短歌は…