イタリアーノのひとみ海色盂蘭盆会


イタリアーノのひとみ海色盂蘭盆

 街はすっかり、お盆休みの気配だ。出社してはいるが、急いでやらねばならないことはない。
 ランチへ行くと、ランチメニューの飲物に、グラスビールも含まれている。「ノミモノナニニシマスカ、コーヒー、コウチャ?」「グラスビール」と小さな声で言ってみる。ホール係はイタリア人なのに、ん?と目を向く。その目が「オヒルカラ、イイノ?」と言っているようだ。そしてわざとではないのだが、アイスコーヒーが運ばれてきた。「ゴメン、カエテクル!」と大変済まなそうな顔をしていたけれど、私は反省して「アイスコーヒーにします」という。
 一応私には、「お酒は17時を過ぎてから」というルールがある。まぁ、一人じゃないとき、旅先などではその限りではないのだけど。これは村上春樹の『羊をめぐる冒険』の、酒に病んでいく共同経営者が、反面教師(?)となっている。
 その限りではないという好例は、俳句旅行。まず、行きの車中からビールと句会、到着して、昼食とビールと句会、散歩、夕食とお酒、ひと心地ついて、21時からお酒と句会〜朝の4時半まで。8時に朝食を食べ(さすがに俳句も酒もなし)、散歩の後、11時頃、カフェにて句会とビール、移動して、遅い昼食と日本酒と句会、帰りの電車で、最後の句会と日本酒。
 飲酒量は人それぞれ。作句量はほぼ一緒、皆、満ち足りて帰る。たぶんこれが、俳句の力、座の力、だと思っている。(すなみ・のりこ=出版社勤務)