花カンナ脳の何処やら痒きこと


ツイッター。ネーミングはキュートだけど、もはや「つぶやき」というほどささやかな存在じゃなくなっている感じ。「フォローミー」って言っちゃうし。
➁ひとりごと。村上春樹に「飛行機―あるいは彼はいかにして詩を読むようにひとりごとを言ったか」という短編がある。主人公は、彼女に「ひとりごと」を指摘されるが、全く覚えがない。それは飛行機が出てくるひとりごとで、彼女はそれを「全部そらで覚えてる」。彼女が言う。「あなたの心はどこか遠い森の奥の方で飛行機のことを考えていたのよ」と。その少しあとで彼女は泣くのである。
それを読んでいると、「ひとりごと」は、他人が指摘したり、ましてや「全部そらで覚えてる」だなんて告白してはいけないもの、なのかもしれないなぁ、と思う。それは心の奥の奥の奥からくるものなのだから。指摘したとたん、深い溝を、人と人の間に掘ってしまうものなのかもしれない。
➂母のうた。母は、しょっちゅう自作のへんてこな歌を歌っている。大抵は朝の空気に溶けていくが、ときどきたまらなくなって「何それ?何処から出てくるの?」とフォローしてしまうことがある。「自然に出てきちゃうのよ〜」と言ってさらに歌は続く。本当にへんてこな歌ばかりだが、だからこそ、ときどき本気で感心するものである。(すなみ・のりこ=出版社勤務)