理想と欲望の間で

子供は純粋だ。自分が好きなものに全力を投じる。つまらないものには見向きもしない。だから、その興味を向けられる側にとっては残酷な世界であり、子供から笑いをとることは、子供を感動させることにつながる。

かつての自分もそうであった。私はレゴや積み木で何か形を作るとか、食玩フィギュアで一人劇をするとかが好きな子供であった(今考えると、至極陰気である)。レゴで大きな海賊船を作った時は本当に嬉しくて毎日遊んでいた。一方で、つまらなかったものは覚えてないが(なにしろ興味がないわけだから)、きっと大部分の子供と同じようだったに違いない。

そんな私も変わった。人に気を遣うようになった。いつしか理性の人が住み、その人が決定を下すようになった。つまらないことにも、お世辞笑いをするようになった。最早今の私に、あの頃の面影を見ることはない。

と書くと、なんとなくそれっぽい(というか残念)が、実際はそんなこともない。やはり欲望に忠実に従うことも人生を豊かにする上で必須だ。だから酒も飲む。欲望があるから人間は生きていける。大事なのは理性と欲望のバランスなのだ。そしてこの2つのバランスを持つことがいわゆる“勝ち組”へなるためのメソッドなのではないだろうか。そう、欲望を理性で武装する、これこそが子供と大人の違いであり、人類普遍の処世術である。(taxpon=ITエンジニア)