結婚しないこと

 今年にはいって5人の友人から結婚式へ招待されている。
 友人の結婚はとても喜ばしいことであり、心から祝福しているし、この気持ちに嘘偽りは決してない。しかしながら、私自身は一生結婚しないと心に決めている。この決心は新しいものではなく、小学校卒業時に埋めたタイムカプセルから出てきた「20歳の私への手紙」にもしっかりと「結婚しないこと」と明記してあった。
 「なんでかたくなに結婚を拒否するの?」と友人には言われるが、逆に私からすれば「なんで結婚しなければならない?」と問い返したくなる。ある先輩によれば結婚する理由は三つのing―feeling、timing、happening―の結果だそうだ。なるほど、この定義はかなり説得力があるけれど、同時に結婚しない理由にもあてはまる気がしてならない。
 なにはともわれ、結婚して、これから幸せな人生を歩もうとする友人たちはきらきらと輝いている。彼、彼女たちをみると、私はとてもたいせつなものを無下にしているのではと思うときもある。とくに友人の結婚の話題になるたびに「私はお嫁さんの顔も、孫の顔も見れないのね」と笑いながらもさみしそうな母親をみるとこの決心が正しいことのなのか私は最近わからなくなる。結婚しないという選択も、結婚するという選択と同じくらい重いことなのだ。(J=大学院博士課程)]