さようなら私の本

部屋の荷物を整理する必要があって、本を売った。
ねかせること幾星霜、項を開くことのなさそうな見切り本を数十冊。大した金額にならなかった。署名をして店を出ようしたら、レジ台の本の山の隙間から、売り飛ばした本の表紙が見えた。あれを買ったのは、人気のない夜の○○書店だった。期待して買ったけれど、結局私の好みではなかったな。
ほんの少し、胸が締め付けられる心地がする。

手放すと惜しくなる、という良くない性質が私にはある。必要がない、縁がないからサヨナラをしたのに、「もしかしたら時が経てば未来が展開するかも・・・」とつい考えてしまう。そういう優柔不断というか、未練がましさは、もちろんGKにも影響する。
GK部員は皆さっぱりしていて、デートに誘われても本当に好みでないと行かないのであるが、私はとりあえず、行く。そして一回目がパッとしなくても、次も行く。その次も行く。特に「好き」と思わなくても、生理的に厭だ、などと明確な断る理由がなければ、ずるずるとデートを続けてしまう。で、何度となくデートを重ねた末、結果がでないことがほとんどだ。

「時間の無駄だ」という人がいる。その通りだと、今の私は思う。一瞬でも袖が触れてしまったものへの所有欲やほのかな愛情は、つまるところ、ただの感傷に過ぎない。
古本屋を後にした私は、新しい本を一冊買った。(キューピー小村=GK<合コン>部長)