行きつ戻りつ①

GKで知り合ったAさんと、連絡が途絶えた。

Aさんとは、ひと月半くらいの間に4回デートをした。1、2回目は食事、3回目は水族館。水族館は個人的な趣味もありとても楽しく、ムフフ…と思った。違いを感じることがあっても(メール絵文字使用量、外泊の可否など)、見通しは概ね良好だった。ただただ楽しかった、あの夜までは。

最後のデート、私たちは都内の水族館にいた。高層ビルの屋上、空を見つめるペンギンの群れ。生ぬるい夜風が、二人の間を抜けていく。ふと、閃くものがあった。
あ、私たち、恋人の振りをしているんだ。
その天啓はゆっくりと私の心を冷ましていったのだった。

GKの難しさは、「人間関係」と「恋愛関係」を同時に深めていかなければならないことだろう。自然の出会いもそれは同じかも知れない。ただ、本来なら時間をかけて育む人間関係を、GKの場合は、時としてなおざりにしてしまう。「恋愛」のために出会った男女が意気投合すれば、すぐにでも恋愛「風」を楽しめ、お互いに何も想っていない状態で育まれる関係など、知る理由もない。しかし、人としての関係が熟していないのに、水族館や映画館等でいかにも恋人的な状況に身を置いてしまった時、人の心に生まれるのは恋ではなく、白々しさだったりもするのだ。

その日はAさんの誕生日だった。Aさんも、我に返ったのだろう。(キューピー小村=GK<合コン>部長)