GK向いてないの壁

 恐れを知らぬ海女のように果敢にGK海に飛び込んでいく我ら部員にも、スランプはある。スランプ期は、どんなにその場は盛り上がっても、先方からメールが一通も来なかったり、どんなに甘く採点をしても、誰にも一ミリの魅力も感じられなかったりする。それが何度も続くと、虚しい気持ちがして、「もう漁に出るのを辞めようか」と思ったりする。「私は、GKに向いていないんだ」と。
 「GKに向いていない」。部員の誰もが、この悪魔の囁きと戦ってきた。2〜4時間で初対面の男性に自分を売り込み、見定め、好みの相手と何とかお近づきになる・・・情緒もヘチマもない合理的な種の生存競争。御簾越しに恋文を交わしてきた日本人DNAが、拒否反応を起こすのも当然だ。さらにこの囁きには“自信の喪失”が隠されている。つまり、これだけたくさんの男性に会っていながら良いお引き合いがないのは、自分に魅力が足りないからなのか・・・。
 経験から言えば、GKは運のものである。もちろん魅力的な人はモテる。でも私たちの目的はGKでモテるためではなく、然るべき相手と良い恋をすることである。だからGKで全然引き合いがなくたって、モテなくたって、いい。素直に相手を探そうという心構えがあればいい。それを知っている誇り高き海女は、軽々しく「向いてない」なんて口にせず、ただ潜れば、いい。(キューピー小村=GK部長)